はじめて恋をした まほらのまぼろし

はじめて恋をした

あの日、出会ったことは
たしかな事実だということ

いくら打ち消そうとしても
その事実はなくならない

出会いは奇跡である
奇跡は軌跡となっていく

息が止まるような出来事は
確定的な余韻となっていく

あの日、僕は恋をしたんだ
はじめて君に恋をしたんだ

奇跡のような確率で
偶然と偶然が重なって

僕は君と出会ってしまった
運命は変えることができない

瞳と瞳が合わさっただけで
僕らはすべてを悟ってしまう

皮肉とも、悪戯ともとれる
執着とも、服従ともとれる

断続的に流れていくもの
偶発的に捉えていくもの

奇跡は二度は起こらない
同じ奇跡は繰り返さない

始まりも終わりも此処から
捉えていく僅かの機会から

選りすぐりのものだけが
恋となって彼処に転がる

見えない形である関係と
留めない形である相思と

微妙かつ繊細な色彩で
僕と君の予兆が決まる

肯定だけがすべてなんだ
この恋だけが正しいんだ

他者の介入など許さない
当事者だけの不可侵条約

あの日、僕らは出逢ってしまった
止められない時間のはざまで

逃れられない現実の中で
たしかな光が射し込んでいく

夜を越えていく想いがある
駆けていく熱量が増大していく

軽躁的な愛の告白だけでは
現実を打ち消すことはできない

はじめて恋をしたんだ
成就しなくても良かったんだ

僕はあのときはじめて
君に恋をしたんだよ


スポンサードリンク

カテゴリー: Love