いつかはすべて まほらのまぼろし

いつかはすべて

何かが壊れる
何かが消える

音も立てずに
形も変えずに

壊れてしまう
消えてしまう

どんなに大切に
思っていても

どんなに必要と
感じていても

青天の霹靂は
ある日突然に
舞い込んでくる

予測することも
予知することも
誰にもできない

壊れることは
衝撃をともなう

消えることは
哀切をいざなう

感情がなければ
どんなに楽なのか

哀しみも、苦しみも
切なさも、悔しさも

生きていくのに
邪魔なものばかり

全部なければいい
身体から追い出して
感情から解放されたい

煩わしいだけのもの
面倒でしかないもの

利益をもたらさない
幸福からはほど遠い

感情がなければ
すべては無になる

無になればすべての
感情も苦悩もなくなる

代償も期待もない
絶望も閉塞もない

楽園の住人には
荷物はいらない

すべて投げ捨てて
一人の人間となる

安らかで穏やかで
欲望のない世界へ

いつかはすべて
消えてしまうんだ


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