顔を上げると
ピンクのバラさんが
すらりと背伸び
まるで
僕の奥さんみたいだ
美しいねって
言葉をかけてあげる
美しいバラと
澄み渡る空の青が
心の栄養になる
吸いこまれる
君から
逃れるように
上を向いて
空を見上げた
吸いこまれる
空の青い色
緑の葉ずれ
一瞬だけど
何をしてるとか
どこにいるとか
忘れてしまう
青い吐息
青い吐息
空の青に
紛れてしまう
雑踏に
溶けてしまう
吐息も
悲鳴も
渇望も
この都会では
すべて同じなんだ
誰も
見分けてくれない
誰も
気づいてくれない
青い吐息は
孤独なんだ
雑踏に
紛れることなく
孤独なんだ
あのとき
ふっと
空を見上げる
何気ないことで
あのときが
呼び起こされる
不思議
あそこには
行けないのに
思いだけは
自由自在なんだね
携帯
携帯を鳴らす
胸の鼓動を
聞きながら
空の雲を
眺めながら
携帯を鳴らす
魔法の効力
どんな笑顔も
この空の
透明な青さに
消えてしまう
僕の魔法は
わずかな時間しか
効力を
発揮できない
やわらかな記憶
思わず
声を出してしまう
この空を見て
この風を感じて
この匂いを嗅いで
五感が
あの頃の記憶に
触れるんだ
だから
思わず
声が出てしまった