
遠い日の
記憶は
取り戻せても
遠い日の
あの人は
取り戻せない
あのとき
手放したものは
もう
手に入れることは
できやしない

鮮やかすぎるから
記憶というものは
怖いのだ
鮮やかで
美しいものが
忘れられないことへ
直結するからだ

せつなさも
苦しさも
愛しさも
すべて
頭の片隅に
記憶として
残っている

この川と
同じように
記憶も
思い出も
流れ出ていく

忘れたことを
思い出す
それは
とても大切で
愛情にあふれた
すてきなもの
手繰るように
ゆっくり
ゆっくり
忘れた記憶を
思い出してみて