そこは
遥か彼方の記憶
手繰り寄せてみるか
触れずに
そっとしておくか
手繰り寄せることは
恐怖であり
甘美である
だから
結論は決まっている
そこは
遥か彼方の記憶
手繰り寄せてみるか
触れずに
そっとしておくか
手繰り寄せることは
恐怖であり
甘美である
だから
結論は決まっている
愛した記憶よりも
味わった記憶の方が
より優勢である
あのとき
食べたランチが
忘れられない
って言ったら
あなたは
怒るだろうか
うっすらと
記憶が蘇る
それは
あなたの記憶
ではなく
舌の記憶として
ありありと
蘇るのだ
一緒に見た夕日
話をしなくても
ただ同じ場所で
同じことをする
それだけで良かった
一緒に見た夕日
共有した記憶
私は絶対忘れない
思わず
声を出してしまう
この空を見て
この風を感じて
この匂いを嗅いで
五感が
あの頃の記憶に
触れるんだ
だから
思わず
声が出てしまった
私の記憶は
いつも
食べ物ばかり
食べ物と記憶が
くっついて離れない
君といた
記憶よりも
そのとき食べた
料理のことだけは
鮮明に
覚えている